「いたみ記事」の編集後記
昨日、書いた記事について。ただふざけているように思えて、自分としては少し思い入れがあるので編集後記として書き綴っておこうと思う。
※このブログは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません
この記事の企画を思いついたのはけっこう前で、2月に行われたメディカルジャーナリズム勉強会でヨッピーさんの話を聞いたときだった。
世の中には俗にいうとんでも医療本(ex. 〇〇を食べればガンが治る ) といったものがよく売れて、逆に正確な医療情報はバズりにくい。バズライターのヨッピーさんと一緒に発信の仕方を考えようというものだった。
「とんでも医療本の手法に乗って、伝えたいことを伝えればいいんじゃないか」
これが、ヨッピーさんの提案だった。その日のもう1人の登壇者SEOの辻さんも同じような考えだった。
この手法でヒットしている書籍といえば、UCLAの津川先生が今年発売された「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」である。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07BNFS5PP/
最初、この本のタイトルを決めるとき津川先生は「エビデンスに基づいた…」という内容で提案したのが、編集者に却下されたらしいw
この本の内容を届けたい相手に届けるために、"究極の"という、さも"とんでも医療本"がつけていてもおかしくないようなタイトルになったそうだ。
では、リハビリ分野においてはどうだろうと考えた時に真っ先に浮かんできたきたのが、SNS広告などで流れている「3秒で痛みが改善する」系のセミナー団体だった。
「いたみ記事」の話に戻ると、例えばもっと江戸さんフォーカスしたものや痛み評価のグローバルスタンダードを前面に出した内容の方がもしかしたらPVは良かったのかもしれない。
でも、この3秒で痛みが改善する系のセミナーに参加するような層のセラピストではなく、勉強意欲が高い層のセラピストにしか届かなかったと思う。
流し読みで勘違いして、いい感じに炎上してくれることも含めて、拡散につながってくれればいいとも狙いとしてはあったが、いやはやそう簡単にうまくはいかないものであるww
このような誇大なコピーでもセミナー集客が目的である以上、医療広告等の対象ではなく、違法でもない。
ただ間接的ではあるものの、「命や健康」といったものを扱うことに関しての情報発信である以上、僕は倫理的に良くないことだと思う。
「肩こりは幽霊のせい」に代表されるwelq問題も、なぜgoogleのアルゴリズム変更まで促す大きな問題になったかというと、それはやっぱり「命や健康」に関わることだからだ。
これが仮に「トンネル付近の渋滞は幽霊のせい」といった内容だったら、何も問題は起きないだろう。
ブログやTwitterなど、情報発信が簡単にできるこの時代だからこそ、もう少し自分が流す情報によって人の命や健康が左右されるかもしれないと気をつけるべきではないか。
最後に「いたみ記事」の企画に賛同してくれて貴重なお時間を割いてくれた江戸さん、伊丹のバラの写真を提供してくれた元同僚STの勝俣さん(自分が伊丹にいったのは4月だったのでバラが一輪も割いてなかった)、本当にありがとうございました。